
2025.04.22

はじめに
クラウドファンディング(以下:CF)は、「CROWD(大勢の人)」と「FUNDING(資金調達)」を組み合わせた言葉で、インターネット上で不特定多数の支援者から資金を集める新しい手法として注目されています。特に日本では、2011年の東日本大震災を契機にその活用が広まり、今では非営利団体(NPO)のファンドレイジング活動において重要な役割を果たしています。

READYFORは国内で最初に立ち上がったクラウドファンディングサービスです。
CFは、数ある寄付集めの手段のなかでも、「目標」と「期限」を明確に設定し、短期間にムーブメントを起こす「キャンペーン型」の寄付集めである、ということが大きな特徴です。
目標に対していまいくら集まっている、残り何日、ということが常に可視化されることで、お祭りのような盛り上がりを演出しやすく、「今ご支援を」と切迫感を持って訴えやすい。それゆえ、特に初めての資金調達プロジェクトでも効果を発揮します。
一方で、短期間でまとまった資金が集まったとしても、それだけで団体にとっての財務的課題がすべて解決するわけではありません。
以前は「一度限り」の資金調達という印象が強かったCFですが、近年ではこれを定期的に実施することで新規支援者を獲得したり、CFをきっかけに長期的な寄付者コミュニティを築く非営利団体が増えてきました。つまり、「CFを、非営利団体全体のファンドレイジング活動を広げるきっかけ」にすることもできるのです。

私自身、キュレーターとして8年間ほどファンドレイジングの業界に携わってきましたが、CFの使い方がどんどん進化していることを実感しています。
この記事では、そんなクラウドファンディングについての基礎知識から、成功するための具体的な戦略、さらには支援者との関係を継続的に深めていくための実践的なコツまで、詳しく解説します。
クラウドファンディングのプロジェクトは、下図のような流れで一巡します。
プロジェクトの掲載から最後の終了報告まで、半年から1年程度かかるのが一般的です。

そして、クラウドファンディングと一口に言っても、実はいくつかの種類があります。
ここでは、集めた資金の性質によって決まる4つの「型」と、不達成時に集まった資金がどうなってしまうのか?によって決まる2つの「方式」についてご説明します。
税制優遇あり?なし?
ーー集めた資金の性質によって決まる「型」
「購入型クラウドファンディング」「寄付型クラウドファンディング」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
これは、「集めた資金をどのような性質のお金として扱うか」によって種類が分かれます。

一般的な非営利団体が実施する場合は、ほとんどが通常型か寄付型を選ぶことになります。※自治体が実行者となる場合や自治体との共同プロジェクトの場合はふるさと納税型、配当を返すことを前提に(寄付ではなく)投資を得たい場合は金融型となります。
では、通常型と寄付型はどう違うか?
端的には、寄付型は「支援者が寄付金控除を受けられる」場合にのみ適用できる型です。つまり、公益財団法人や認定NPOなど、行政から公益性が認められている(税制優遇適用の認定を受けている)団体だけが利用できるということです。
一般社団法人や株式会社、個人など、税制優遇を受けられない団体が実行者になる場合は、通常型を選択することになります。※READYFORの場合の区分です。プラットフォームによって、各分類の定義は異なりますので、各公式サイトの説明をご確認ください。
もし目標達成できなければどうなる?
ーー不達成時の条件によって決まる「方式」
さらに、上記と別に、「All-or-Nothing方式」「All in方式」という区分もあります。
これは、もし目標金額に到達できずに期間が終わってしまった場合、それまでに集まった資金はどうなるか? によって分かれるものです。

READYFORでは、図の通り、All in方式を適用できる団体は限られており、基本的にAll-or-Nothing方式で実施いただくことがルールになっています。
達成しなければ返金、というと不利な条件に見えるかもしれませんが、実はAll-or-Nothing方式の方が圧倒的に達成率が高いという実績があるからです。
明確な目標金額が設定され、「これが達成しなければ全額返金になってしまう」「だから必ず成功させなければ」という意識が高まることで、実行者の団体内部においても、支援者にとっても熱量が高まり、結果的に支援が集まりやすくなるのです。
とはいえ、プロジェクトの性質によって、どちらの方式が相応しいかはケースバイケースです。方式選択に悩まれた場合は、お気軽にお問い合わせください。
プラットフォーム上に掲載する「プロジェクトページ」は、そのプロジェクトの趣旨や実行者の熱意を伝えるための場所です。
READYFORのサイトでは、プロジェクトページは下記のような要素で構成されます。特に、③の「プロジェクト本文」でどのようにプロジェクトの思いを伝えるか……この作り込みが、クラウドファンディング成功の鍵となります。


※READYFORの場合の構成要素です。また、募集期間のルールもプラットフォームによって異なりますのでご注意ください。
リターンに何を設定すれば良いか分からない、というのも、クラウドファンディングを検討されている団体さんからしばしば耳にするお悩みです。
リターンは、下図の通り、大きくは3つのパターンに分けられます。

とはいえ、非営利団体のクラウドファンディングは、「リターンに豪華なグッズがついているから」支援されるわけではありません。
それよりも、プロジェクト内容そのものへの賛同が重要で、原価は支援額の2-3割程度に収めるのが一般的です(リターンを豪華にするくらいなら、そのお金を本来の活動に回してほしい、と考える支援者も多いものです)。
そのため、基本的には③の純粋応援コースを主軸に考えつつ、もし何か団体らしいグッズや特別体験が提供できる場合はラインナップに加えてみましょう。例えば、神社仏閣のプロジェクトなら御朱印が人気ですし、NPO団体が活動の現場をご案内するような体験コースも人気です。
世の中、クラウドファンディングの成功体験談は溢れているけれども失敗談はなかなか見つかりません。でも、本当は失敗のパターンにこそ学ぶべきところが多いはず。
ということで、「応用編」では、残念ながら目標額にとどかず終わってしまったプロジェクトにはどんな共通項があるか、考えてみたいと思います。
①ページやリターンの準備に夢中になりすぎて、「掲載すること」がゴールだと思ってしまう
成功するプロジェクトは、次のような支援の伸び方をするのが一般的です。

私たちは、クラウドファンディング開始から5日間のことを「スタートダッシュ期」と呼んでいます。
READYFORのデータによれば、クラウドファンディング開始後、このスタートダッシュ期に「目標額の30%」に到達できるとプロジェクトの成功率は9割を超えます。逆に、ここでうまく支援の集まらなかったプロジェクトは、その後の支援も伸び悩む傾向にあります。
だからこそ、本当に一息つけるのは、スタートダッシュが成功してから。最初に一定の支援が集まるよう、事前の準備・仕込みが重要です。

②知らない人たち“だけ”から支援を集めようとしてしまう
では、このスタートダッシュを決めるにはどうしたら良いのでしょうか。
クラウドファンディングにおける支援は、一般的に、このように同心円状に広がります。 まずは身近な人からの支援を得て、その方々からの発信の力も借りて徐々に支援の輪を広げていく、というのが基本のセオリーなのです。

最終的に、
約3割:知っている人
約3割:交友関係を辿れば誰かの知り合い
約3割:全く知らない初めての出会い
となれば理想的。
つまり、どんなプロジェクトも、まずは身近な応援者から同心円上に。特にプロジェクトが始まりたてのスタートダッシュ期は身近な人の応援を蔑ろにせず、それを基盤としながら外へ広げていくのだという意識が大切です。
③プロジェクトページがひとりよがりで、なぜ寄付が必要なのか伝わらない
支援者が、「このプロジェクトを応援したい!」と思うモチベーションには主に3つの源泉があります。

中でも重要なのは、「実行者への思い入れ」と「内容への共感」。言い換えれば、「寄付を募ってまでこのプロジェクト・活動をやりたい理由は何なのか?」「その活動の意義・価値はどこにある?」。
それを突き詰めて考えて、それがきちんと支援者に響くものになっているかどうか。それが、CFの一番の成功の秘訣なのです。
CFは、「目標」と「期限」を明確に定めた期間限定の「キャンペーン企画」であり、だからこそ「今ご支援を」と切迫感を持って訴えやすい。一方で、短期間でまとまった資金が集まったとしても、それだけで団体にとっての問題がすべて解決するわけではない。
……というのは、冒頭でも記した通りです。
では、クラウドファンディングを単なる「一過性のイベント」や「打ち上げ花火」に終わらせず、持続可能な支援の仕組み、つまり長期的なファンドレイジングの入り口とするにはどうすればよいのでしょうか?
重要なのは、CFで集まった支援者をどう「次」に繋げるか、継続的な支援者として関係を育てていくかという視点です。
理想的な寄付者との関係は、ピラミッド状に段階的に発展していきます。

実施、READYFORでは、クラウドファンディングを一回限りに終わらせず、二度、三度…、場合によっては毎年決まった時期に年中行事のように実施することが定番化している団体様も増えています。
下図のように、一度目のクラウドファンディング終了から1年以内に次回を実施すると、それだけ支援者の方の継続率も高いというデータもあります。

では、CFの寄付者を次のステップ(複数回の寄付)に上がっていただくためにはどうすれば良いか?
最も基本となるのは「寄付体験に満足していただくこと」です。

具体的には、
丁寧なお礼をする
リターンを満足いただける形で送る
プロジェクトの進捗や成果をこまめに報告する
一つ一つは小さな取り組みかもしれませんが、積み重ねることで「寄付して本当に良かった」「意義のある支援ができた」という満足感や信頼感につながります。また、このプロセスを通じて支援者が団体のファンになっていくという効果も期待できます。
クラウドファンディングの実施はなかなかに大変なものです。そのため、期間終了と同時に「お疲れ様でした」といった具合に一区切りつけてしまい、その後の支援者との関係構築にまで気が回らない団体も少なくありません。
しかし「帰るまでが遠足」という言葉があるように、終了後の取り組みこそが重要です。
これは本質的に「支援者とのコミュニケーションを大切にする」ということであり、あらゆるファンドレイジング活動の基盤ーー次のプロジェクトや継続的な支援につながる第一歩となります。
クラウドファンディングは、目標と期間がはっきり定まっているからこそ、特に「初めての寄付集め」や「キャンペーン的に寄付を集中的に伸ばしたいとき」「新しい寄付者を獲得したいとき」には非常に有効な手段です。
ただ、これを単なる一過性のイベントに終わらせず、得られた支援者や経験を「先」に繋げる視点を持つことで、より良い成果に繋がります。
本記事では、クラウドファンディングの基礎知識と成功のポイントを解説しましたが、実際の実施にあたっては各団体の状況に合った戦略が必要です。
団体の強みを活かしたクラウドファンディングを、ぜひ私たちと一緒に実現させましょう。

【お問い合わせ先】
READYFORファンドレイジングサービスでは、ファンドレイジングの戦略設計コンサルティングを提供しています。
単発のクラウドファンディングのサポートだけでなく、団体のミッションとビジョンを理解した上で、現状分析から戦略立案、そして実行伴走まで、皆さんの持続可能なファンドレイジングの仕組みづくり全般をサポートします。
無料相談から承りますので、お気軽にお問い合わせください!
担当 ファンドレイザー
廣安 ゆきみ
エキスパートキュレーター / 認定ファンドレイザー
東京大学 文学部(美学芸術学専修)卒。出版社で歴史雑誌の編集者を経験し、2016年にREADYFORに参画。特に文化分野のファンドレイジングに関心があり、2018年社内に文化部門を立ち上げる。文化庁文化審議会委員、文化経済部会アート振興WG委員など歴任。認定ファンドレイザー。
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