
2024.10.17

2024年10月11日から2日間に渡り、READYFORも加盟している新公益連盟(新公連)の合宿が開催されました。READYFORファンドレイジングサービス部門からも、ファンドレイザーの久田伸が参加して参りました。この記事では合宿の模様をレポートします。企業との連携を模索するNPOの方、ファンドレイジングや広報PRのヒントを得たい代表や事務局の方は、ぜひご覧ください!
新公益連盟は、NPOや社会的企業のアクションチームを作り、社会課題解決のための制度改革や様々なセクターとの協働、ソーシャルセクターの経営力強化を行うことを通じて、人々をエンパワーメントし、日本をより多くの社会課題解決事例が創出され続ける社会とすることで、公益の増進に寄与することを目的としています。全国170以上の団体・個人が加盟しており、当社READYFORもその一員です。
セクターを超えた「コレクティブ・インパクトの構想が生まれる場」の創出等を目的とし、年に一度開催されている新公連の中でも最も大きなイベントです。今年は能登での大地震・豪雨の発災を受けて、開催地を金沢とし、合宿の前日には希望者でボランティア活動も行われました。

司会のCoCoTELI理事長の平井さん、うみのこてらす代表理事の川邊さんの挨拶で合宿はスタート。今年はセクターを超えて約170名が参加し、過去最多だったそうです。
開会に際して、石川県の馳浩知事からは「震災支援は行政も頑張っているが、マンパワー、資金、ノウハウに限度がある。発災の翌日からNPO等に支援をいただいていて、本当にありがたい。官民連携での息の長い支援が必要」とご挨拶をいただきました。
さて、ここからが本編です!
筆者の参加したセッションやグループディスカッションをたっぷりご紹介します!
モデレーター:RCF代表理事 藤沢烈
ゲスト:石川県副知事 浅野大介/多田屋6代目館主 多田健太郎/計画情報研究所代表取締役 安江雪菜
まずは能登の復興に携わられる様々なセクターの登壇者が、現在の取り組みやNPO等の民間団体が有事の際に行政と連携する時のポイントなどを話し合いました。
<このセッションのハイライト>
能登の震災では日本のソーシャルセクターの力が発揮されている。市役所も社協も疲弊し切っているなか、民間の力でスピードが出ている。仲間として必要な情報をデリバリーしてくれて頼もしい。
行政は、平時に市民と会話できないと有事にもできない。住民の繊細な心のひだを理解しながら進めないといけない。NPO/NGOはこの点を弁えているが、遠慮し過ぎても「よそ者」の良さが失われるのでバランスが大切。
地域によって、受援能力(=被災地が外部の支援を受け止める力)に差がある。支援する側は「受援できる人たちか?」ということを考えないといけない。
外部の人との連携に慣れていない場合もあるし、支援に対して「申し訳ない」と気疲れにつながることもある。「何すればいいですか?」と聞くよりも「これが、こういう風に提供できます」と言う方がマッチングしやすい。
復旧・復興に向けては、能登の景観・伝統ある街並みをどう残すかも重要。毎日同じ田畑の景色を見て散歩することが、この地域のおじいちゃんおばあちゃんのウェルビーイングなのだと、現場を見ると思い知る。小さい声を拾って未来をつくることが求められる。
モデレーター:ピースウィンズ・ジャパン広報マネージャー 町浩一郎
スピーカー:PoliPoli Policy Fund ディレクター 會澤裕貴
続いてはグループセッション。参加者は自分の関心のある分科会テーマに集まり、少人数で意見を交わしました。
<このセッションのハイライト>
災害発生直後のファンドレイジングで最も大事なのはスピード。発災してから何をしようか考えるのでは遅い。発災したら何ができるか、誰とどう連携するか、平時に考えておく必要がある。
NPO/NGOの広報部隊は最速で最前線にいるので、メディアに素材提供を求められたり、密着取材が入ることもある。自団体のファンドレイジングのための広報とはいえ、自分たちが伝えないと現地の情報が正しく伝わらない。伝える責任がある。
広報では、被災者に最大限の配慮をする。写真や動画も許可を取って出す。必ず名刺をお渡しする。その場で使用OKと言われても、途中で気が変わる場合もあるので、連絡先を残す。
ファンドレイジングにおいては、支援者の方に自団体を個別認識していただくことが重要。例えば、レスキューチームに名前をつけてブランディングするなど、現地の最前線にいる職員をヒーローにして、応援していただく。
モデレーター:CRファクトリー代表理事 呉哲煥/エイズ孤児支援NGO・PLAS代表理事 門田瑠衣子 スピーカー:新公益連盟代表理事 白井智子/ RCF代表理事 藤沢烈
この合宿をもって新公連の経営メンバーが代替わりするということで、新旧の理事メンバーによるパネルディスカッションが行われました。まずは今回で理事をご退任するお二人から。
<このセッションのハイライト>
藤沢氏:「この10年の功績として、NPOが中小企業と同様に個人保証なしで融資を受けられるようになったことは大きい。これにより、従来は数千万円の規模でしか事業ができなかったのが、数億円の規模で事業ができるようになった。大きな議論ができるのは新公連の真骨頂。この箱をさらに磨いてほしい」
白井氏:「近年、若い人の参加も増えて現在では175団体が加盟するまでに至った。有事の時に動けるのがNPO、だからこそ平時からネットワークを作るのが大事。また、ジェンダーバランスも重要。私は、イベントも会議もジェンダーバランスを指摘し続けた。READYFORの代表 米良さんも、最近は空気が変わってきたと言ってくれた」
モデレーター:CRファクトリー代表理事 呉哲煥/エイズ孤児支援NGO・PLAS代表理事 門田瑠衣子
スピーカー: クロスフィールズ代表理事 小沼大地/Learning for All代表理事 李炯植/WELgee代表理事 渡部カンコロンゴ清花
続いては新体制で理事に就任された3名のNPO代表によるトークです。

<このセッションのハイライト>
李氏:「自団体だけが拡大しても社会の課題は解決しない。業界自体を大きくしないといけない。そのことに向き合おうと思った。タレント揃いなので、みんなの力を発揮できる場がつくれるといい」
渡部氏:「合宿に初めてきた時を思い出した。電話できるくらいの相談相手ができたのもこの合宿。新公連は壮大な互助組織。どんどん新しい人を連れてきていただきたい。横で繋がる人を増やしてほしい」
小沼氏:「自分は大学で研究テーマにするほど、NPOが好きだった。社会に届いていない声を聞くというところが格好いいと思っている。ただ、まだまだこれからだという思いもある。たくさんのプロジェクトを生んで『かかわりしろ』を増やしていきたい」
再びグループディスカッションへ。筆者は非営利組織における若手人材の確保・育成について話し合うグループに参加しました。
どの団体も、若手の採用、育成、途中離脱などに悩みを持たれていて、民間との人材交流の裾野を広げることや、金銭報酬だけでなく、非金銭報酬の魅力を打ち出していくことが重要という話をしました。

▲ディスカション時の模造紙のメモ
こうして1日目はあっという間に終了。
懇親会でもたくさんの方をお話できました!
モデレーター:クロスフィールズ代表理事 小沼大地
スピーカー:anri代表パートナー 佐俣アンリ/経済同友会副代表幹事 髙島宏平/東京レインボープライド理事 杉山文野/イシノマキ・ファーム代表理事 高橋由佳
2日目のスタートは経済セクターのオピニオンリーダーと、非営利セクターの代表によるクロストーク。新公連は経済同友会と「共助資本主義の実現に向けた連携協定」を結ぶなど、経済界との連携を進めています。READYFORも株式会社という立場で団体の皆さまをご支援しているため、楽しみにしていたセッションでした。

<このセッションのハイライト>
営利と非営利との間にはグラデーションがある。非営利側が過度に「資本主義に飲み込まれる」と恐れる必要はない。資本主義の力を使える時は使えばいい。
ただ、機運だけでは実利を生まない。非営利側が、営利側を理解しにいった方がいい。目の前のビジネスパーソンが、何をしたら組織の中で評価されるのかを理解した方が、話が早いはず。惜しいところで止まってしまうプロジェクトがたくさんあるが、それを突破するには、相手の言語で話せるようになる必要がある。
営利か非営利かと、スケールを追うか追わないかはマトリックス構造だと思う。非営利だからスケールできないという訳ではない。経済界はスケールを追うのが好きな人が多いから、スケールの話をした方が好まれる場合もある。「あなたがいると、解ける課題が3倍になるんだ」という話をした方がいい。
お互いに現場を見た方が良い。お互いが見える景色を共有しながら、コラボできるポイントを探す。お互いの現場をリスペクトして見る。VCという言葉一つとっても「べンチャーキャピタル」「ボランティアセクター」と、住む世界によって言葉の意味が違う。そういうことを理解できていることが大事。
NPOは市民の代表。ずっと続けていて土着であることが価値。例えば差別を禁止する政策提言はNPOがしつつ、それをダイバシティ雇用に生かすのが企業など、同じビジョンで役割分担していけるといい。
モデレーター:KIBOW 代表パートナー山中礼二
スピーカー:一般社団法人ソーシャル・インベストメント・パートナーズ 奈良拓磨
最後のグループセッションはインパクト評価について議論するグループに参加しました。READYFORファンドレイジングサービス部門でも、団体のロジックモデルを作成するワークショップを実施するなど、社会インパクトの可視化に努めています。
<このセッションのハイライト>
2007年にロックフェラー財団がインパクト投資の考え方を打ち出した。経済的リターンと社会的リターンのどちらも得ようとする投資を指す。
インパクトファンドの潮流は大きく4つで、①VCのインパクト志向化 ②より強いインパクトを求める動き ③投資手法の多様化 ④経済的リターン得ないタイプの出現がある。
READYFORなど、篤志家のお金と思いを翻訳して団体に届けるプレイヤーが増えてきた。

Learning for All代表理事 李炯植
最後に、新理事の李さんから締めのご挨拶。
李:「これから新しい体制で更に連盟をよくしていきたい。能登の復興に向けてセッションできたことも、今後につながるはず。また来年の合宿でお会いしましょう!」
今年初参加だった筆者は、2日間で100名以上のソーシャルセクターの方とお話させていただきました。そのなかで能登での災害支援をはじめ、多様な社会課題に立ち向かう皆さまの「現場の解像度」の高さを目の当たりにしました。社会課題というと言葉が大きくて漠然としがちですが、突き詰めれば「いま、ここに、困っている人がいる」ということに辿り着きます。そんな人に手を差し伸べる存在こそが、この合宿に集ったソーシャルセクターの皆さまなのだと、改めてその尊さに気付くことができました。
一方で、そんなソーシャルセクターのプレイヤー自身が、健康的にも経済的にもゆとりのある状態で、サステナブルに活躍し続けるためには、団体の経営基盤の強化や、ステークホルダーとの関係構築が欠かせません。そこにファンドレイジングの力、ーすなわち、寄付をはじめとした資金調達によって、団体の応援者を増やすための戦略設計と実行伴走の力で、お手伝いできることはまだまだあると感じました。
「非営利団体か、営利企業か」という垣根を軽やかに超えて、お互いの良さを活かし、補い合いながら、共に社会の難題を一つずつ解いていきたいと思います。
新しい理事の皆さまによる今後の新公連の展開が楽しみです。また来年、お会いしましょう!
担当 ファンドレイザー
久田 伸
エキスパートキュレーター / 准認定ファンドレイザー
千葉大学 教育学部卒。広告会社で企画・制作、CEO室立ち上げ、人事マネージャー、サービス開発責任者を経てREADYFORに参画。ファンドレイジングサービス部門の立ち上げから、サービス開発、組織開発に従事。国立科学博物館の「地球の宝を守れ」プロジェクトでは国内クラウドファンディングにおいて最高額・最高支援者数を記録*。(*2024年7月時点)
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